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ランドスケープ研究87(4) 生物多様性―ネイチャーポジティブの時代へ

日本造園学会誌『ランドスケープ研究』87巻4号を2024年1月に刊行しました。

特集:「生物多様性―ネイチャーポジティブの時代へ」
Biodiversity; Toward the Age of Nature positive

2022 年12 月カナダのモントリオールにおいて、「愛知目標」(2010 年)の次、2020 年以降の生物多様性に関する世界目標となる「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。そして翌年3月には、この枠組みに対応した新しい生物多様性国家戦略である「生物多様性国家戦略2023 - 2030」が閣議決定された。この戦略は、2030 年のネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を目指し、地球の持続可能性の土台であり人間の安全保障の根幹である生物多様性・自然資本を守り活用するための戦略である。
日本造園学会は、生物多様性の問題に一貫してコミットしてきた。2021 年の全国大会でミニフォーラム「自然と共生する地域づくりと次期生物多様性国家戦略」を開催するとともに、2022 年3月に環境大臣宛に「次期⽣物多様性国家戦略の策定に向けた提⾔書」を提言し、国の「次期生物多様性国家戦略研究会」においては複数の会員が参画して議論をリードするなど強い関心を寄せてきた。
新しい国家戦略では、生物多様性損失と気候危機の「2つの危機」への統合的対応やネイチャーポジティブ実現に向けた社会の根本的変革が強調され、30by30 目標の達成への取組、自然資本を守り活かす社会経済活動の推進などが謳われている。新しい戦略策定から、まもなく1年を迎えるが、本特集では、これからの生物多様性が目指している方向性や民間企業等の動向を取り上げる。

(特集担当:坂本真一・三輪 隆・冨永斉史)

 

目次

総論

〇生物多様性保全の新潮流
橋本 禅

報告

〇ネイチャーポジティブに向けた日本経済界の現状と課題-
長谷川雅巳・邑並 直人・喬橋 宗嗣

〇自然と開発の対立を越えて ~富士山南陵工業団地開発で実現したネイチャーポジティブ
鈴木菜々子

〇イングランドにおける生物多様性ネットゲイン政策と生物多様性クレジットについて
中村圭吾

〇「生物多様性国家戦略 2023-2030」策定に向けた学会からの提言書 ーとりまとめの様子と提言内容の紹介
大久保悟

座談会
〇生物多様性 ーネイチャーポジティブの時代ヘー
則久雅司・湯澤 将憲・横田 樹広・植田 直樹・原口 真
秋田 典子・三輪 隆・富永 斉史・坂本 真一

 

※発刊からおよそ3か月後に、執筆者の許諾が得られた記事はJ-STAGEにて公開しております。