Green roofs’ circumstances in North America
菊池佐智子(明治大学農学部)
Sachiko KIKUCHI (School of Agriculture, Meiji University)
1. はじめに
東京都が2001年に開始した屋上緑化の義務化以降、各地で同様の条例が施行されてきた。本稿では、2010年1月に行ったGreen Roofs for Healthy Cities会長 Steven Peck氏による講演の内容から、北米、特にカナダにおける屋上緑化の取り組みとその事例を紹介したい。
2. Green Roofs for Healthy Citiesについて
Steven氏が1999年に設立した団体で、設立当初はカナダトロントで屋上緑化関連の6つの企業の連合としてスタートした。団体の活動目的は、屋上緑化や壁面緑化に関する社会経済的、環境価値を意識させ、現在は屋上緑化・壁面緑化の普及である。
Green Roofs for Healthy Cities (以下、GRHC)では、企業との共同研究にも取り組んでいる。”Green Roofs Tree of Knowledge”というサイトでは、過去6年間で、調査や制度に関する250もの資料が公開されている。また、多様な価値を創出したプロジェクトを提案したデザイナー(チーム)に対して、表彰を行っている。そして、2007年には、the Green Roof Professional(GRP)という制度を設立した。GRPには、屋上緑化システムにおけるデザイン、設置、維持管理などのガイドラインに関する学識的知識が必要とされる。2008年、最初の試験では、北米において、250ものGRPが認定された。
3. 2009年までの主要都市の緑化面積
2009年の調査では、Chicago(Illinois)が最も多く53万4,507sft,ついで,Washington(DC)の50万1,042sft、New York(New York)の35万8,986sft、Vancouver(British Columbia)の32万sftであった。プロジェクト数でも、上位3位までの都市は同じである。
4. 緑化への期待
北米では、屋上緑化や壁面緑化等をグリーンインフラストラクチャーと位置づけ、それらに様々な効果を期待している。中でも、都市内で発生する雨水流出を縮小する機能、効果が期待されている。
5. おわりに
2月に冬季オリンピックが開催されたカナダバンクーバーは、グリーンウェイプログラムによる街路設計計画の先駆的都市のひとつである。本稿では、Steven氏の講演内容の一部を紹介するのみで終わったが、北米の緑化事情を聞き、調べたことで、機会があれば、実際に訪ねたい都市の一つになった。
Parking Swale
Rain Garden
Chicago’s Millennium Park Green Roof
Top 10 Metropolitan Areas- SF Implemented 2008
( 2009 Green Roof Industry Survey )