専門職大学院の認証評価機関としての認証について
日本造園学会学術委員会委員長,JABEE・専門職大学院合同委員会委員長
小林達明
標記につき、日本造園学会は平成21年度より準備作業を行ってきたが、中央教育審議会の審議を経て、専門職大学院認証評価機関として認証する旨の文部科学大臣名の認証書を平成24年7月31日付けで受領したのでご報告する。
造園学会は、関係の研究者・技術者の学術交流団体という従来の姿から、近年は、JABEEやCPDなどの教育機能を身に付けた総合学術団体へと変化してきた。専門職大学院の認証評価機関として認められたことはその流れに沿うもので、今後、学会が研究と教育の両輪をともに軸として担っていくことを社会的に表明したものと言えよう。このことは、今年度移行した公益社団法人の趣旨に合致するものである。まずは、ここまでの準備に携わった関係者の努力に感謝し、ご支援いただいた会員各位に御礼申し上げたい。
認証書には「専門職大学院のうち環境・造園分野の認証評価を行う認証評価機関」とある。環境や造園に関する高度専門職業人教育のわが国初めての認証評価機関として本学会は認定されたのであり、当該分野の高等教育の発展に責任を負う立場になったと言える。高等教育機関の認証作業には公正さ・中立性がきびしく求められるので、認定機関の運営は厳格に組織的であることが不可欠である。一方、専門職大学院の性質上、研究者ではなく、実業界、技術者、社会の声を広く聞き、柔軟にシステムを改善していくことも求められている。これらの課題をともにクリアするためには、高い理念のもとでの透明性の高い組織運営が基本であることは当然だが、風通しがよく、前向きで活発な議論が展開する組織である必要がある。また、整然と書式を準備し、膨大な審査書類を読みこなし、話し合いを積み重ねて事実を確認して判断を下すという粘り強い作業も必要となる。認証事業の円滑な運営には間違いなく関係者の努力が欠かせない。しかし、そこにとどまるのではなく、明日の造園学を担い、グローバルな競争環境の中でランドスケープ分野を開拓できる次世代を育てる取り組みとして、会員全員に真に意味のある事業とならなくてはならない。そのために、本事業に対する忌憚のない議論と懇篤なるご支援を会員各位にお願いしたい。