塚田伸也氏
オープンスペースにおける利用環境と評価に関する研究
塚田伸也氏は,2008 年に学位論文「都市公園における利用と管理の評価構造に関する研究」をとりまとめ,今日まで都市公園などのオープンスペースにおける利活用と評価に関する研究に精力的に取り組んできた。その内容は,オープンスペースに対する人々の利用意向やイメージ特性,地域特性を踏まえた利用者の嗜好性や行動原理などを明らかにしたものであり,オープンスペースの整備のあり方,魅力づくりに有用な知見を提供してきた。こうしたオープンスペースに対する人々の評価構造の研究に加え,オープンスペースが利用者に与える心理的な効用など,多様で複雑な価値を定量的に明らかにした一連の研究成果は,造園学の進歩,発展に多大な貢献をするものである。また,塚田伸也氏は,前橋市都市計画部などでの行政実務に携わりながら調査研究に意欲的に取り組み,主に前橋市など身近なオープンスペースを対象とした多様な視点での研究成果を継続して公表してきた。そして,研究成果を新たな公園整備,公園管理の評価システムの提案,地域特性を活かしたオープンスペースの施設計画などの実務につなげる努力を積み重ねてきたことは,造園学が目指すべき社会実装に結びついた研究のあり方を指し示すものとして高く評価できる。以上より,日本造園学会賞(研究論文部門)を授与するに相応しいと判断さた。