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-2020年度日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)

山田 咲氏,加藤友規氏,阪上富男氏,太田絢子氏

文化財庭園における本質的価値の尊重と新たな価値創造型サービス-名勝無鄰菴庭園等に見られる管理・運営マネジメント

 

無鄰菴は山縣有朋の構想の下,七代目小川治兵衛により作庭された名勝庭園であり,2016年から指定管理者制度のもと受賞者の所属する組織が管理運営を行っているものである。受賞者は,庭園の本質的価値に関する研究・検証を行ったうえで,庭園外延部の樹木剪定による東山の借景の顕在化から生育環境の異なる多種のコケの生態に応じた管理など,様々なスケールにおいて丁寧な管理を行っている。また,文化財庭園の本質的価値の理解を促すため、ソフト面でもきめ細やかな取り組みがなされ,かつそれらの取り組みに対するアンケートを行い,定量的評価を加えることで管理・運営サービスとその体制の充実につなげるサイクルを構築している。さらに,無鄰菴にとどまらず,庭園文化に寄与するための人材育成や,充実した管理運営体制の普遍化に向けた取り組みを行っている。これらは深い思考と分析・実践力の高さに裏打ちされた優れた事業であると評価できる。以上より,日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)を授与するに相応しいと判断された。